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2025年8月30日 (土)

広報誌 カミーザドーゼ・サンガ 2025 No.67

2025年8月30日(日)サンガスタジアム by KYOCERAにて行われました2025 J1リーグ第28節、京都サンガF.C.vsファジアーノ岡山の試合当日、当後援会の広報誌「カミーザドーゼ・サンガ」を入場ゲートで配布いたしました。

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今回のスペシャルインタビューは、第7節広島戦でマン・オブ・ザ・マッチ今季今季第1号にも選ばれた平戸 太貴選手です。

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39 MF 平戸 太貴

1997年4月18日生まれ(28歳)
茨城県出身 

【選手歴】

2007–2009年 鹿島アントラーズジュニア
2010-2012年 鹿島アントラーズジュニアユース
2013-2015年 鹿島アントラーズユース
2014-2015年 鹿島アントラーズ(2種登録)
 2016-2019年7月 鹿島アントラーズ
   2017-2018年 FC町田ゼルビア
         (期限付き移籍)
2019年8月-2022年 FC町田ゼルビア
2023年- 京都サンガF.C. 

2025シーズンも折り返しを過ぎ、いよいよ後半戦。4月にはサンガ史上初めてのJ1首位を獲得するなど、今までにない快進撃を見せています。曺監督が掲げる、「Brave and Breakthrough~勇敢に、突き進む。」をチームスローガンに、タイトルの獲得を目標に掲げ、まさにそれを体現する今年のサンガ。そんな中、今回のインタビューは、ここまで海外移籍をした川﨑選手と共にサンガの司令塔ともいうべき活躍を見せるMF 平戸大貴選手にお願いしました。

サッカーを始めたきっかけはどんな感じだったのでしょうか? 

供のころは団地に住んでいたのですが、真ん中に広場みたいなグラウンドがあって、周りのお兄ちゃんがボールを蹴って遊んでいた中に、3歳くらいから混ぜて遊んでもらっていました。記憶にはないですが、そのころに「誕生日プレゼントは何が欲しい?」と聞かれて「サッカーボール」と答えていたようです。そのくらいボールを蹴ることが好きだった記憶があります。

3歳からサッカーをして遊んでいたとは驚きですね。そこからJリーガーになるまでの道のりはどんなだったのでしょう?

育園に入るとその保育園にサッカーチームがあって、もちろんそこに入りました。小学校に上がった時には、その小学校にもチームがあったのですが、何故かいろんな小学校から選手が集まる少年団という感じのチームに入りましたね。低学年の時は水戸ホーリーホックのスクールにも通っていたのですが、小学校3年生の時、4年生から入れるアントラーズのジュニアチームがあって、そのセレクションがあると友達から聞かされ、腕試しに受けてみたいと思いました。

そこからは鹿島のトップチーム迄トントン拍子ですか?

え、それがそうでもなくて。両親には「鹿島のジュニアのセレクションを腕試しに受けるのは良いけど、合格しても通わせられない」と言われていました。うちから鹿島へ通うのに交通手段がないから両親が送り迎えをしなければいけない。両親は共働きでしたので、それは無理だから、と。そんな感じで受けたセレクションですが、たまたま受かってしまって(笑)。で、親にどうしても通いたいとわがままを言って通わせてもらうことになりました。両親はもちろん、おじいちゃん、おばあちゃんや親戚の人たちにも協力してもらってサッカーをやらせてもらいましたから、そこは今でも感謝してもしきれないです。

ご両親も今となっては平戸選手のわがままを聞いて良かったと思われているでしょうね。
でも、そうしてまで通った鹿島ジュニア、その後中学生になったらジュニアユース、高校生になったらユースと昇格するために、皆さんが協力してくださった恩に報いるためにも相当努力されたのでしょうね。

え、特別これと言って努力したという事はないと思います。他のみんなも努力はしていますから。ただ、鹿島の練習から帰った後も、団地のグラウンドでボールを蹴って壁当てとかしていました。それは好きでボールを蹴っていたという記憶ですが、そういう環境が周りにあったことはラッキーでした。近所の方には相当迷惑だったと思いますが(笑)。

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そして鹿島のトップチームに昇格を果たされますが、その時はどうでしたか?

 1年目、やれる自信はありましたけど、なかなか試合に出る機会はありませんでした。その年鹿島はリーグ優勝をして、天皇杯も優勝し、クラブワールドカップもレアルマドリードと決勝を戦うのですが、その錚々たるメンバーを見て「こんなに簡単に優勝できるんだ」と思いながらも自分は試合に出られないという悔しさもあり、翌年、試合に出られるチームにレンタル移籍をしたいとチームにお願いしました。鹿島のレベルの高い練習でも自分は成長できるとは思いましたが、練習でいくらうまくなったとしても、やはり試合に出て活躍することが一番だという気持ちが強かったからです。周りのみんなには「まだチームを出るのは早い」と反対されましたが、試合という真剣勝負の場に立てることが楽しいというか、もう一度甘えを捨てて、他のチームに移籍しても試合に出られなかったら、活躍できなかったらもう終わり、みたいなところに自分の身を置いてチャレンジしたかったんです。

2年間町田で活躍して鹿島へ戻りますが、また半年で町田に戻りましたよね。

田の2年目には8ゴール、アシストも17くらいして、自信を持って鹿島に帰ってきたのですが、リーグ戦には出られず、ACLには出してもらったのですが怪我で空きのあったサイドバック。本職での出場ではありませんでした。自分の思い描いていた状況とあまりにも違う状況に、サッカー人生ではじめて腐りかけそうになったというか、心が折れそうになった時期でした。その夏に町田を含めいろいろなクラブからオファーを頂いたのですが、降格争いに巻き込まれていた町田がどうしても力を貸してほしいという事だったので、サッカー選手としてこれだけ求められることもないし、現状を打破する意味でも完全移籍で町田に移籍しようと決めました。その時も周りからは「絶対やめた方がいい」「半年で移籍を決断するのは早すぎる」と反対されましたが、試合に出ていることの充実感と得られる自信、自分の成長に気づいてしまったので、鹿島で本職でないサイドバックで試合に出る事より、移籍した方がサッカー選手としての充実度は違うと思っての決断でした。

そこから京都へ移籍してこられますが。

こから3年半、町田でコンスタントに8点9点のゴールと2桁のアシストはしていました。毎年J1に戻りたい、ステップアップしたいという気持ちはありましたが、自分にはインパクトを与えるような圧倒的な数字や、他のクラブがいくら払ってでも欲しいというような活躍は出来ていなかったと思います。3年目京都からオファーが来て、試合を見てみると、とてもアグレッシブなサッカーをするなという印象でした。曺監督のサッカーを知っている選手に話を聞くと「曺さんのサッカーは太貴のサッカーとタイプが違うから絶対やめた方がいい」と何人もに言われました。しかし自分としてはJ1に挑戦できるチャンスと、自分に足りないところをストロングポイントにしているチームなら自分としては自分の持っていない部分の成長に絶対つながるだろうと思い京都に移籍することにしました。

先ほどから話を聞いていると、色々な転機で周りのアドバイスが至極真っ当だと思いますが、毎回その逆、無謀な方を選択しているように思えます。安易に正解の方に進んだのではなく、信念をもって選択した方を正解にしているところが平戸選手の凄いところだと思いますが。

はあまり表に出さないのですが、根本のところで負けず嫌いなところがあります。みんなに「合わない」とか「やめた方がいい」と言われると、余計に挑戦したくなるようなところはありますね。今のところは何とか選んだ方を正解にできていますかね。

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京都に移籍をして、すぐに京都のサッカーには慣れましたか?

直最初は今までやってきたサッカーとの違いに戸惑いました。そこまでプレスに行くのか、とか、この場所を空けてまでボールを奪いに行くのか、とか。しかし、それを個人でやるのではなく、チームとして全員でボールを奪いに行って全員で攻撃する、奪われたら全員で守備をする、という共通認識で、自分がどう動くべきなのか、皆はどう動くのか等、今では考えなくてもわかるまでにはなりました。

ここまで中盤でコンビを組んでいた川﨑選手が海外に移籍となり、前半戦とコンビを組む相手が変わりますけど、そういった不安はどうでしょう?

太の抜けた穴は大きいと思いますが、自分たちには誰が怪我でいなくても、出場停止でいなくても結果を出してきたという自負はありますし、そういう意味では一人でサッカーをしているわけではないので、誰が入ったとしてもチームのスタイルをブレさせることなく一人ひとり与えられた役割を果たしながら、また自分の特徴も出しながら戦って行けたら、と思います。

最後にファン、サポーターの皆さんにメッセージをお願いします。

イトルを獲ることは簡単なことではないし、それを公言するからには自分たちのサッカーに対する情熱やその覚悟ももう一段階上げて行かないといけないと思います。
しかしタイトルを獲るためには、選手だけではどうにもなりません。サポーターの声援はピッチに立っていても聞こえているし届いているので、目の前にある試合に勝つため、そしてタイトルを獲るために共に戦ってください。よろしくお願いします。

優しい表情の中にも確固たる信念を持った平戸選手の一面を垣間見るお話をお聞きすることが出来ました。今シーズン当初から曺監督をはじめ選手の皆さんも「タイトル獲得」を公言されておられます。そのためには我々ファン、サポーターの後押しが絶対必要です。シーズン終了時みんなで笑えるよう、ここからも精一杯の後押しをしていきましょう!

(取材日 2025年8月3日)

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